一本の指で知る事
もし、今いる場所で突然、火事や地震、津波などが発生しすぐにでも逃げ出さなきゃ行けない場合に何を持って出て行くか。
親の形見などを持ち歩いている人を除けばほとんどの人は財布か携帯電話と答えると思う。
私は欲張りなのでどちらかなんて選ばず、その二点を手にして逃げる。
財布には金銭はもちろんだがカード類や身分証を入れているので紛失するとかなり面倒だ。
(過去に三度経験している経験者として言う)
その財布と肩を並べるほど、なくてはならない存在となった携帯電話。
手元にあるのがあまりに当たり前となったのは私が学生の頃からだろうか。
世に携帯電話が普及し、気付けば一人一台持っているのが当然となっていた。
その携帯電話がスマホに変わったのなんて最近の話で当時は写真を撮ることができる新機種のCMを見てかなり驚いたし絵文字が動くこともパソコンではなく携帯電話でHPを作れたりすることにもいちいち驚いた。
自主制作でHPを作る時代を経て、当時は招待制だったmixiの大ブームが到来。
初対面の人とも連絡先を交換するよりハードルが低く感じたのでとりあえずマイミクになった。
誰が自分を最初に招待してくれたかなんてもちろん覚えてないし、きっと"お友達"になった人の中にも自分が覚えてない人もいる。
登録をしていない人を見つける方が困難だったmixiも、今やまだアカウントにログインが出来る人を見つける方が難しい。
一体みんな、いつやめてしまったのか。
「今日、閉鎖します!」
なんて宣言もされてないしmixiを辞めよう!という運動があった訳でもない。
気づけばみんな開かなくなっていた。
それがfacebookやInstagram、Twitterに移行していったと言えばそれまでなんだけどあれだけみんな日々日常を綴り、生活の一部としていたものがあんなにぼんやりと消えてしまうのかと思うとなんて儚いんだろう。
あの中にいた、"お友達"と呼ばれる人も一緒に消えてしまったかのようにその後を知らない人がたくさんいる。
指一本で近況を知る事が、考えを知る事ができるから会ったつもりになって、知ったつもりになっていた。
それはガラケーからスマホに変わってSNSツールが変わった今も全く変わってない気がしている。
Twitterでその人の今の心の声を見て、
最近どう?なんて聞かなくてもその人のことを知った気になれる。
でもそれらのツールを使わなくなった時に普段から頻繁に連絡を取るような相手でなければ
ふとした時ぐらいにしか思い出さなくなる。
ひどい時には記憶にすら残っていない。
携帯電話がない時代は待ち合わせは大変だったんだろうな
遠距離恋愛なんてどうしていたんだろう
どんなふうに時間を潰していたのかな
そういえば家の固定電話って最近使ってないな
どこでもドアもなければタイムマシンもまだないけれど、
携帯電話やスマホのおかげでかなり便利な時代になっている。
けれど
その便利さがたまに淋しくさせるときがある。
しようとすれば、簡単できる。
だからこそしない、いつでもできるから。
その便利さと簡単さがひどく淋しい。
そんなことを結局スマホに向かって打ち込んでいる。
これからもこの便利さにすがりついていくんだろうけど、きっとこの淋しさも忘れてはいけない気がしたので書き残した。
情けないけど、人間の記憶より確かだから。
明日も、忘れたくない事が一つでも増えますように。
(AMまもなく3時の布団の中より)